農業情報設計社によるブラジル市場への参入


これからまさに海外市場へ打って出ようとしている日本のアグリテックとして注目されるのが、北海道で創業した農業情報設計社(Agri Info Desigh, Ltd. / 以下AID社)です。

それも、初めての本格的な進出先として選んだのは、日本から最も離れた国の1つであるブラジルでした

なぜ同社は敢えてブラジルを選んだのか?その着眼のポイントに迫ってみましょう。

ノウハウ活かし、北海道から世界へ

AID社のファウンダー(創設者)でCEO(最高経営責任者)の濱田安之氏は、トラクターの自動運転を研究する農林水産省の研究機関で研究者でした。

濱田安之
濱田安之氏

自身のスキルで農業者対象に農作業に役立つITシステムを直接提供したいと、一念発起して研究職を離れ、北海道帯広市で起業。ITシステムの提供に加え、企業や団体向けに農業機械の情報化・自動化に関するソフトウエアの開発やコンサルティングを行っています。

その中でドローンの自動運転技術に可能性を見出し、開発で試行錯誤を繰り返す中で、その技術を応用して誕生したのが、AgriBus-Naviでした。これはトラクターの正確な走行をサポートするアンドロイド向けのアプリケーションで、スマートフォンやタブレットをモニター画面としてGPSガイダンスを行なうシステムです。

GPSガイダンスにより「真っすぐ・等間隔に走る」ことで、農作業のあらゆるシーンの効率化を実現します。大がかりなモニターを購入する必要もないため、従来のGPSガイダンスサービスと比較してコストを圧倒的に抑えることができるのも特長です

また、アプリに加えて専用のGPSシステムも提供することで、携帯電話での位置情報の誤差を提言してよりアプリの効果を実現しています。こちらはアマゾンから世界各地へ発送しています。

Aribus G-Navi
Aribus G-Navi

AgriBus-NaviはGoogle Playから誰でもダウンロードでき、無料で使用できます。アプリの公開から2年、世界140か国ですでに10万回のダウンロードを記録しています。このうち日本国内からのダウンロードは、5千件(全体の5%)に留まります。つまり、95%が海外でダウンロードされているのです

濱田氏には元々、農地や人的資源の制約から日本の農業市場には限界があり、海外こそ打って出るべきフィールドであるという問題意識があったと言います。自身の手掛けたアプリが海外で広く使われるのを前に、海外進出への手応えを感じていたところでした。

なぜ”ブラジル”なのか?

AgriBus-Naviがダウンロードされている海外の国で、日本よりその回数が多かったのは、ブラジル、スペイン、アメリカ、ポーランド、ウクライナでした。そのうち、2万件(全体の20%)と世界最多のダウンロード数を誇っているのが、ブラジルでした

濱田氏は、ブラジル・ベンチャー・キャピタル代表の中山と2018年にあるイベントで知り合います。自身のアプリが最も活用されているブラジルを自身の目で見ておかなければいけないと兼ねてから考えていた濱田氏は、ブラジルで2019年4月に開催される世界最大規模のアグロビジネス展示会・Agrishowをチャンスと捉え、早々にブラジルへの出張を決めてしまいました。

このツアーの様子は、ジェトロ短信にも紹介されています:
アグリショーで存在感を示した日本のアグリテック(ブラジル)

ブラジル訪問中には、AgriBus-Naviの実際のユーザーからの意見を耳にする機会に恵まれ、また展示会ではアプリを知る企業関係者とのコンタクトも生まれました。

例えば、ハードウェア開発は行っているものの、それに組み合わせて使用するソフトウエアに課題を感じていた現地企業からは、両者の技術を組み合わせることで低コストで農家の生産性向上に貢献できるとして、AID社のソリューションに関心が寄せられました。

また、Agribus-Naviから収集されるトラクターの運用情報を、農家の経営判断に用いる情報を一元化表示するブラジルのアグリテックのプラットフォームに統合するための協業も決まりました。

このように、農業大国で先進的な取組みが進むブラジルにあって、それでも農業情報設計社の技術と組み合わせることで、出展企業側のビジネスに付加価値を提供できるような場面が複数見られたことは、ブラジル訪問前の濱田氏自身の予想を上回る成果だったと言います。

さらに、Agribus-Naviで搭載が検討されている新機能に必要な電子製品がブラジル国内で製造されていることも判明。このように、ブラジル滞在中に初めて接触した企業が、農業情報設計社のクライアント、パートナー、サプライヤーのいずれともなりうるような、有益なコンタクトを開拓することができています。

世界有数の農業国・ブラジルを舞台にAgriBus-Naviが大きく羽ばたくことになれば、世界市場への門戸がますます開かれていくことになるでしょう。


次回、2020年のアグリショーは、4月27日(月)~5月1日(金・祝)の開催予定です。ぜひブラジルにお越しになり、ブラジル農業の可能性をともに感じてみませんか?
Agrishow
Agrishow

また2019年7月16日には、第1回ブラジル・アグリビジネス・フォーラム 東京 が開催されます。農業情報設計社 濱田安之ファウンダー・CEOも登壇し、ブラジルのアグリショー訪問ツアーに参加して得られた手応えと、ブラジル農業市場のポテンシャルについて語っていただきます。皆さまのご参加、お待ちしております!


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