10月10日 Bank BS2フォーラム訪問記: ブラジルにおけるオープン・バンキングの現在地と今後


イベント要旨

Bank BS2 (以下BS2)が主催するオープン・バンキングのフォーラムに参加しました。昨年に続く二回目の開催です。今回は、ブラジル中央銀行、その他金融機関およびfintech関係のパネリスト14名を迎え、以下3部構成のアジェンダについて議論が交わされました。

 

第一部 「オープン・バンキングとは何か? ~効率的なプロセスと開かれた市場へ~」
第二部 「オープンAPIに関するテクノロジー」
第三部 「オープン・バンキングによる第三者企業へのメリット」

 

パネリストによるディスカッションの様子

 

フォーラムを通じて得られた主な示唆は、下記3点でした。

1) 中央銀行による制度設計も進行中であり、ブラジル全体がオープン・バンキングに前向き。

2) ブラジルの世界第4位のfintech利用率、二桁増のeコマース市場成長見通しも追い風に、オープンAPIに強いスタートアップには特に商機あり。

3) ブラジルに限らず、消費者が求めるのは”Bankではなく、Banking”。

 

オープン・バンキングとは?

ブラジル中央銀行の定義によれば、オープン・バンキングとは、「顧客の同意のもと、安全性、即時性、利便性が担保されたプラットフォーム (API)上で、顧客の支払い、製品、サービス等に関するデータが、金融機関やその他第三者企業によって共有される仕組み」です。これにより、例えば顧客は、第三者企業がそのデータを活用することにより、便利なサービスを利用できます。

 

また、オープン・バンキングでは、標準化されたAPIの開発運用が肝とされ、fintechにおける商機の一つと言えます。

 

なぜ、オープン・バンキング?

銀行、決済系スタートアップ、顧客、第三者企業、政府といった主な対象者にとってのメリット、デメリットは、以下の表に集約されるでしょう。これらを総合して、欧州でのオープン・バンキング化を皮切りに、日本も含めた各地域にも広がりを見せています。

 

オープン・バンキングによるメリットとデメリット (筆者まとめ)

 

ブラジルのオープン・バンキング事情

ブラジル中央銀行は、COMMUNIQUÉ 33,455を今年4月に発効し、オープンバンキングに関する基礎的な要件を示しました。ctmfileも、2020年の後半までに、ブラジル国内の主要12銀行 (国内金融市場シェアの86%) によりオープン・バンキングが導入されると見通しています。

 

現在、オープン・バンキングにおけるブラジル国内の有力なスタートアップとしては、弊社の投資先でもあるbxblue、CICLIC、CONTAAZUL、DOTZ (いずれもBanco do Brasilと提携)等が挙げられます。

 

さらに、FINNOvistaの調査によれば、ブラジルでのfintechに関する規制については、過半数の関係者が、「規制が十分に整備されている、または、詳細な規制は重要ではない」と回答しており、規制整備の面でも、顕著な欠陥はない環境下で、オープン・バンキング事業を行える事が伺えます。

 

ブラジルのfintech規制に関する所見 (2018年)

 

BS2のオープン・バンキング導入

当地メディアEXAMEは、10月8日付の記事で、BS2が決済系スタートアップのPayMeeと提携したと報じました。この提携により、PayMeeはBS2の保有する顧客情報に直接アクセス可能となり、より迅速な決済サービスが可能となりました。

 

PayMeeのMaranhão CEOは、「オンラインストア業者は、PayMeeの決済システムを介する事により、豊富なBS2顧客データベースの恩恵を受けられるだろう」と、オープン・バンキングによる第三者企業側へのメリットも強調しています。

 

今後の見通し: 日本発のfintechにも商機あり?

BI intelligenceの統計によると、ブラジルにおけるfintech利用率は40%で、世界第4位でした (2017年)。アメリカでは33%、日本では14%と、ブラジルは、オープン・バンキングに対してもより開かれた市場であると言えます。

 

主要国におけるfintechの利用率 (2017年)

 

さらに、eコマースを例にとると、PagBrasilの推定によれば、今年度も16%の市場成長が見込まれ、オープン・バンキングが取り巻く金融以外の第三者企業の観点からも、スケールメリットが十分に存在すると見られます。中央銀行による具体的な動きも含めると、ブラジルでのオープン・バンキングの動きは加速していくと言えるでしょう。

 

日本の様にfintech利用率が低く、かつ市場規模も比較的小さい国を拠点とするスタートアップには、日本発のagritechである農業情報開発社 (AID)の事例と同様に、ブラジルでの商機があるかもしれません。

 

—ご案内—
来月22日(金)には、第2回ブラジル・ジャパン・スタートアップ・フォーラム2019を開催します。

 

ブラジルと日本で注目の各種スタートアップやビジネスに迫る貴重な機会です。
どうぞお見逃しなく!
(お申込みはこちら)


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