フォーラム便り vol.4 | 農業情報設計社 濱田安之氏

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フォーラム便りvol.1では、フォーラムの全体像と、ブラジルベンチャーキャピタルによるOpening Remarksを取り上げました。

vol.2以降は、全18セッションの模様をシリーズでお届けして参ります。

今回は、農業情報設計社(Agri Info Design)濱田安之氏によるアグリテックのセッションです!

農業情報設計社 濱田氏によるアグリテックのセッション

 

会社概要 ”農業の現場をITで支える”

農業情報設計社(AID)は、2014年4月に創業しました。企業や団体向けに農業機械の情報化・自動化に関するソフトウエアの開発やコンサルティングを行うほか、農業者対象に農作業に役立つITシステムの提供を行っています。本社は北海道でも特に農業の盛んな十勝地方の帯広市にあります。農業者の方々を一番近い場所で支えたい、との思いから創業の地をここに定めたそうです。出資者には、住友商事やそしてフォーラムにもご登壇頂いたドローンファンドDGインキュベーションなどが名を連ねます。

 

ブラジル進出のきっかけ

AID社のコア商材であるAgriBus-Naviがダウンロードされている海外の国で、日本よりその回数が多かったのは、ブラジル、スペイン、アメリカ、ポーランド、ウクライナでした。当時、2万件(全体の20%)で世界最多のダウンロード数を誇っていたのが、ブラジルでした。濱田氏には元々、農地や人的資源の制約から日本の農業市場には限界があり、海外こそ打って出るべきフィールドであるという問題意識があったと言います。自身の手掛けたアプリが海外で広く使われるのを前に、海外進出への手応えを感じていたところでした。

そんな矢先、濱田氏は、ブラジル・ベンチャー・キャピタル代表の中山と2018年にあるイベントで知り合いました。今年6月にはブラジルを初めて訪問、アグリショーにも参加しました。期間中には、AgriBus-Naviの実際のユーザーからの意見を耳にする機会に恵まれ、また展示会ではアプリを知る企業関係者とのコンタクトも生まれました。

例えば、ハードウェア開発は行っているものの、それに組み合わせて使用するソフトウエアに課題を感じていた現地企業からは、両者の技術を組み合わせることで低コストで農家の生産性向上に貢献できるとして、AID社のソリューションに関心が寄せられました。また、Agribus-Naviから収集されるトラクターの運用情報を、農家の経営判断に用いる情報を一元化表示するブラジルのアグリテックのプラットフォームに統合するための協業も決まりました。

◎実際の訪問の様子はコチラ:

日本のアグリテック企業によるブラジル・アグリショー訪問記

◎このツアーの様子は、ジェトロ短信でも紹介されています:

アグリショーで存在感を示した日本のアグリテック(ブラジル)

 

AgriBus-NAVIとは? シンプルで低コストなトラクター運転支援アプリ

ドローンの自動運転技術に可能性を見出し、開発で試行錯誤を繰り返す中で、その技術を応用して誕生したのが、AgriBus-Naviでした。これはトラクターの正確な走行をサポートするアンドロイド向けのアプリケーションで、スマートフォンやタブレットをモニター画面としてGPSガイダンスを行なうシステムです。

GPSガイダンスにより「まっすぐ・等間隔に走る」ことで、農作業のあらゆるシーンの効率化を実現します。さらに、AgriBus-Webでは走行の速度や農場の高低差、水はけ等の作業データをAgriBus-NAVIアプリから自動的に記録して、衛星写真と3D表示を使った圃場エリアの作成や、作付け記録などの管理をすることができます。大がかりなモニターを購入する必要もないため、従来のGPSガイダンスサービスと比較してコストを圧倒的に抑えることができるのも特長です

AgriBus-Naviは、Google Playから無料ダウンロード可能です。アプリ公開から4年で、世界140か国で20万回のダウンロードを記録し、ブラジルでは10万回に急増中です。このうち日本国内のダウンロードは全体の約4%以下に留まります。

 

“まっすぐ走ること”による10%の収益性改善

USDAの統計によると、アメリカの約7割の農家では営業利益率が10%以下とされています。資材費等の管理は大きな課題となりますが、トラクターがまっすぐ走る事により、例えば、投入資材の5~10%が削減可能だそうです。こうして農家の利益率が改善されれば、収益面でも魅力ある産業として、若年層の就農にも繋がりそうですね。

 

自動化と低コストのニーズを叶える高性能GPSの開発

センチ単位で認識可能な高性能のGPSデバイスAgriBus-G2も開発しました。GNSSモジュールを2個搭載することで正しい方位を検出し、前後進時や低速での作業でも表示が乱れません。さらに、複数のインターフェイスも搭載し、自動制御が働きます。価格もUS$3,000と他社の同モデルよりも安く、さらに、US$700の新モデルAgriBus-GMiniRも間もなくリリース予定です。

AgriBus-G2イメージ図

AgriBus-GMiniRイメージ図

 

今後の方針 農業における”PDCAサイクルのD”をサポート

今後の方針として、濱田氏は「農業管理のトータルソリューションではなく、圃場でのサポートを提供したい」と述べました。「AIDの役割は、農業におけるPDCAサイクルのDをサポートする事。例えるなら、Officeスイートではなく、Dropboxとして、圃場のデータを蓄積・提供する事」と、他分野のアグリテックと連携していきたい考えも示しました。

示唆に富んだ貴重なお話を頂き、ありがとう御座いました!

 

濱田安之

濱田氏のプロフィールはコチラ!

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