News | ソフトバンクがメキシコのフィンテックへUS$125Mを投資

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­ニュース要旨

メキシコとコロンビアで事業展開するフィンテックのアルファ・クレジット(Alpha Credit)は、先月末、ソフトバンクからUS$125Mを資金調達(シリーズB)したと発表しました。メキシコにおけるソフトバンクの投資は今回が4件目で、同社にとってメキシコでの過去最高の投資額となりました。 今回のブログでは、Alpha Creditの紹介に加え、ソフトバンクによるメキシコおよび中南米での投資活動を振り返りたいと思います。

今回のニュースの着目すべき3点

1) ソフトバンクによるメキシコでの4件目の投資となり、同国における過去最高の投資額を更新したこと。

2) ソフトバンクによるUS$5Bの南米ファンドは2019年に合計でおよそUS$1.5B~2.5Bを投資した事(公開済みの14件のうち10件はブラジルである事)。

3) 金融インフラが未整備の新興国では共通して、マイクロ・ファイナンス事業へのニーズが潜在する事。

Alpha CreditのJose Luis Orozco氏(左)とAugusto Alvarez氏

会社概要

ブラジルのメディアExameおよびジェトロ短信によると、Alpha Creditは2010年にメキシコで、Augusto Alvarez氏とJose Luis Orozco氏によって設立されました。同社ウェブサイトによると、現在メキシコで210のサービス拠点に従業員約2,000人、コロンビアで25のサービス拠点に従業員約950人を抱えています。2018年末までに、銀行が融資対象としないような個人や中小零細企業向けに貸し付けを行い、総額でおよそUS$1Bの融資やリースを延べ50万人に提供しました。同社は自社で開発したフィンテック・プラットフォームである「Bontu」を活用しながら、AXSやアルカンサ・カピタル(Alcanza Capital)といった、メキシコ発のプラットフォーム開発企業とも提携しています。

Alpha Creditによる融資は、個人、中小企業ともに、それぞれ借用者のステータスにより3種類に区分されます。個人向けの場合、1つはメキシコもしくはコロンビアの現役公務員、2つ目は年金受給者と定年退職者、3つ目は個人事業主のうち、同社の電子クレジットローンによる融資の希望者です。一方で、中小企業向けの場合、1つ目は売掛債権を買い取るファクタリング、2つ目はAlpha Creditが所有者となる動産リース、3つ目はBontuのシステムを介して実行される電子クレジットローンとなっています。ソフトバンク・グローバル・インターナショナルのPaulo Rossini投資マネージングパートナーは、「Alpha Creditは一般的な金融機関よりも低金利で貸し出ししながら、独自のアルゴリズムを導入することで、中小企業に対して懸念される債務不履行の割合は、年々低下傾向にある。優れたエコシステムを構築している」とAlpha Creditの事業を評価しています。Orozco氏は、「調達資金を活用してより多くの低所得者層や中小企業への融資を行っていきたい」とコメントしています。ブラジルでも、Creditasなどによるマイクロ・ファイナンス事業が活況を見せていますが、金融システムが十分に整備されていない一方で経済がこれから成長期を迎える新興国ではほぼ例外なく、こうした融資事業へのニーズが潜在するといえそうです。

数字で見るAlpha Credit

ソフトバンクによる中南米での投資の振り返り

弊社ブラジル・ベンチャー・キャピタルも、CNETでソフトバンクの中南米戦略について解説していましたが、改めて同社の中南米での動きをまとめたいと思います。ソフトバンクのブラジル投資部門のAndre Maciel代表によれば、ソフトバンクは2019年に中南米全体でおよそUS$1.5B~2.5Bを投資しました。案件は14件にのぼり、そのうち10件がブラジルでの投資でした(未公開の投資は含まず)。ブラジルのソフトバンク・ビジョン・ファンドが他国と異なるのがレイター以外の投資も積極的に行っていることです。Andre氏は昨夏のイベントで、US$300Mを南米のベンチャーキャピタルに投資したと発表しています。出資先としてメディアなどに名前が挙がるのはKaszek、Redpoint、Valor Capital、Canaryなどです。同氏は「すでにバリュエーションは2倍以上になっているだろう」と自信を見せていました。「小規模なマーケットには異なるコスト構造で臨む」「韓国・中国勢に遅れを取らない」「ベンチャー企業への税制優遇も追い風に、ラテン・アメリカ各国とのネットワークを強化する」といった目的が読み取れるでしょう。

メキシコでの投資活動ですが、昨年には決済システムのClip、中古車販売プラットフォームのKavak、マイクロ・ファイナンスのKonfíoの3社に投資していました。今回のAlpha Creditへの投資は、過去最高額であったKonfioへの投資額US$100Mを上回る結果となり、ソフトバンクによるメキシコ市場への期待の高さが伺えます。ブラジルおよびメキシコ以外では、コロンビアの食品デリバリー企業Rappiアルゼンチンのフィンテック企業Ualáなどに投資実績があります。

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ソフトバンクによるメキシコでの事業投資のニュースからの示唆

ソフトバンクは、最近のニュースで「We Work問題や混迷したファンドの運営への不安感などから、新ファンドへの資金が集まらない」と各メディアも報じている様に、昨年の「まっかっか決算」に続いて苦境が続いています。中南米のUS$5Bファンドへの影響も懸念されますが、中南米市場の高い成長ポテンシャルから、現時点では目立った方針転換はない模様です。また、中南米で公開済みの14件の投資のうち、10件はブラジルが占めていますが、ブラジルに続く経済成長に伴い、徐々に他国の割合も増えてくることも予想されます。さらに、「金融インフラが不十分な新興国が同じく通る道」として、同市場でのマイクロ・ファイナンス事業へのユーザーからのニーズは手堅いとも言えるでしょう。

ソフトバンクの孫CEO

参照

https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/02/ff23db8f1a2f7261.html

https://exame.abril.com.br/pme/softbank-lidera-aporte-de-us-125-milhoes-em-fintech-mexicana-alphacredit/

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