フォーラム便り vol.12 | Cyber Agent Capital 大村マウリシオ 氏

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フォーラム便りvol.1では、フォーラムの全体像と、ブラジルベンチャーキャピタルによるOpening Remarksを取り上げました。 vol.2以降は、全18セッションの模様をシリーズでお届けして参ります。 今回は、Cyber Agent Capital 大村マウリシオ氏による「日本のベンチャーキャピタル」のセッションをご紹介します!

Cyber Agent Capital 大村マウリシオ氏

セッション要旨

先日取り上げたDGベンチャーズ井手氏のセッションでは、「日本のベンチャーキャピタル」について紹介しました。同じく、日本のベンチャーキャピタル業界で一翼を担い、親会社の強みを活かしながら、インターネット業界に特化した投資スタイルを確立しているサイバーエージェント・キャピタルからもゲストをお招きしました。ブラジル出身で、日伯双方のビジネスに深く精通している大村マウリシオ氏に、同社の投資方針や競争優位などを語って頂きました。

会社概要

サイバーエージェント・キャピタルは、2006年に創立しました。サイバーエージェント・グループの中でも唯一、ベンチャーキャピタル事業を手掛けます。ポテンシャルの高いインターネット関連ビジネスで、マネジメント・リーダーシップに秀でた起業家が率いる、グローバル展開を共に志せるベンチャー企業への投資を行います。グループ全体では、2018年度には売上でおよそUS$4.1B、営業利益はUS$300Mでした。サイバーエージェント・キャピタルは、合計でおよそUS$120M規模のファンドを日本及びアジア諸地域に擁します。

サイバーエージェント・グループの鳥瞰図

サイバーエージェント・キャピタルの3つのコア

① インターネットビジネスに特化

投資・支援の領域をインターネットビジネスに特化した、専門性の高いインキュベーションが第一の強みです。変化が著しいインターネット業界における、スピーディーかつ着実な事業の成長を後押ししています。具体的には下記の要素を含みます。

  • 基本戦略からUI/UXまで、徹底したユーザー視点でのサービス開発支援
  • サービス特性や成長ステージに合わせたマーケティング支援
  • 最新のネットサービスやユーザー動向など、インターネットビジネスの最新トレンドの共有
  • これまで数々のインターネットビジネスを生んできたサイバーエージェントグループの事業・組織構築ノウハウの提供

 

② 創業準備段階からアーリーステージにおけるハンズオン支援

シードステージからの事業立ち上げ、アーリーステージにおける事業の加速に起業家のパートナーとしてコミットします。下記の取り組み事例が示すように、創業後のベンチャー企業だけではなく、創業準備段階での支援や出資も行っています。

  • 事業計画・経営戦略・マーケティングなど、事業の成功に直結するノウハウの提供
  • チームに最適な有望人材の紹介、採用支援
  • アジア、北米などのグローバル進出支援
  • 大手事業会社、有望ベンチャー企業とのパートナー提携支援
  • 次期ラウンド以降の資金調達支援

サイバーエージェント・キャピタルの支援体制(同社ウェブサイトより)

③ 8カ国10拠点のグローバルネットワーク

急速な経済成長を遂げるアジアを中心に8カ国10都市に拠点を構え、下記の事例の様に、投資先企業のグローバル展開を加速させます。

  • 潜在マーケット段階での新興国への投資(日米先進事例のローカライズ)
  • 各国マーケットへの相互進出支援
  • 各国優良ローカル企業とのサービス提携支援
  • アジア最新マーケット動向の共有

投資先の事例

サイバーエージェント・キャピタルの投資事例として、日本およびアジア地域でそれぞれ24件、10件のExit実績を紹介いただきました。さらに、2019年の4件のIPO実績は下記の通りでした。

sansan: クラウド名刺管理サービスの企画・開発・販売を行います(上場時の時価総額は推定でUS$1.6B)。創業者の寺田氏は慶應大学SFC(湘南藤沢キャンパス)出身で、SFCは起業家を多数輩出しています。寺田氏は、三井物産を経て07年に三三株式会社を設立しました。「名刺」に着目したのは、誰もが使うツールにもかかわらず、個人としても組織としても、まともな管理方法が確立されていなかったからだと語っています(https://biz-journal.jp/2019/08/post_112896_2.htmlより)。

BASE: 2012年に創業し、Eコマースのプラットフォームの開発を手掛けます。上場時の時価総額は推定でUS$310Mでした。BASEは2019年8月にショップ開設数が80万店を突破したことを発表しており、2018年度の売上高はおよそUS$23M、経常損失はUS$7Mでした(https://jp.techcrunch.com/2019/09/20/base-ipo/より)

SPACEMARKET: 売買・賃貸・ウィークリーが一般的な運用形態だった不動産業界の常識を、1時間単位で利用できるように変えることで、個人宅、会社、公共スペース、飲食店、お寺など様々な遊休スペースを収益化しています。東京建物や東京メトロ、ワタナベエンターテインメントなどとも提携して事業を広げています。上場時の時価総額はUS$179Mと推定され、2018年度の決算は売上高でおよそUS$5.7M、営業損失でUS2.6Mでした(https://jp.techcrunch.com/2019/12/20/spacemarket-is-listed-on-the-tse-mothers-market/?guccounter=1&guce_referrer_us=aHR0cHM6Ly93d3cuZ29vZ2xlLmNvbS8&guce_referrer_cs=6f9gmka42qTd_XvKG6EWVQより)。

fangDD: 中国・深セン発のO2O不動産プラットフォームです。SouFunやAnjukeといったプラットフォームがリスティング手数料を課金するモデルとは異なり、同社は成功報酬型の体制をとります。現在では100,000以上のブローカーと協力しており、30以上の都市にオフィスを構え、約2500人の従業員を擁しています。2014年の上期ではUS$8B相当の取引を媒介しました。累計の資金調達額はUS$312.1Mにものぼります(https://www.crunchbase.com/organization/fangdd#section-overviewより)。

投資先のExit実績

サイバーエージェント・キャピタルのセッションからの学び

サイバーエージェント・キャピタルは、スタートアップの資金調達や業務提携などを目的としたマッチングイベント(例 RISING EXPO)も開催するなど、投資、事業支援に加えて、「場」の提供にも注力します。今後ますます日本のベンチャーキャピタル業界も活況になりそうな中で、スタートアップからの支持を集める為には、こうした「インフラ」としての価値を磨いていく事もカギとなるでしょう。さらに、同社のように「専門分野に特化して投資することで、よりハンズオンの事業支援を可能にする」点も、ベンチャーキャピタル事業へのヒントと言えそうです。

大村氏の紹介

2018年4月よりサイバーエージェントに入社し、AbemaTV広告本部マーケティンググループにて広告価値の分析に従事。2019年1月、サイバーエージェント・キャピタルに入社。慶應義塾大学商学部卒。

『「新しい商品、サービスが生まれるサポートを通して人々の生活を豊かにする」、「情熱や志をもって挑戦する人たちを黒子として支える」を目標にベンチャーキャピタリストとして努めていきます。未熟者ですが、起業家の方に信頼され、仲間として認められることを目指しますので、是非よろしくお願いいたします。』とコメントされています (同社ウェブサイトより)。

示唆に富んだ貴重なご講演を有り難う御座いました!

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