フォーラム便り vol.13 | Aegro, Pedro Dusso 氏

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フォーラム便りvol.1では、フォーラムの全体像と、ブラジルベンチャーキャピタルによるOpening Remarksを取り上げました。 vol.2以降は、全18セッションの模様をシリーズでお届けして参ります。 今回は、AegroのPedro Dusso氏による「ブラジルのアグリテック」のセッションをご紹介します!

Aegro社 Pedro Dusso氏 (写真左)とブラジルベンチャーキャピタル 中山

セッション要旨

これまでのフォーラム便りでは、農業系のドローンでブラジルのアグリテック市場をリードするARPAC社HORUS社のセッションについてご紹介してきました。

今回は、アグリテックの中でも、生産及び財務管理の側面から農業の課題解決を支えるAegro社のPedro Dusso代表に、同社のポジショニングや実績、今後の展望などについて語って頂きました。

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会社概要

Aegroは2014年にブラジル南部ポルトアレグレで創業し、効率的な農業管理を支援するソフトウェアを開発するスタートアップです。具体的には、SaaSを軸足に、農業における生産、財務、販売などの一括管理ツールを提供しています。CEOのDusso氏はドイツでコンピューター工学を専攻し、さらにアグリテックの事業開発に携わった経験もあり、当分野における高い見識を有します。先日のブログで紹介したSP Venturesの投資先でもあり、同社の「ポートフォリオ内の企業のそれぞれの得意分野を組み合わせて、スマートな農業を実現する」という使命の一翼を担います。

Aegroのウェブサイト

今日の農業管理の問題点

小規模及び中規模農家向けの、一元的な管理システムがないために、各農家は「感覚」に基づいて管理したり、経理機能に特化したソフトウェアを使用したり、複数の専門ソフトウェアの同時使用したりするなどしていました。結果として生産性の低下を招き、悩みの種となっていました。

Aegro Farm Management SaaS

AegroはFirm Management Saas (以下FMS)を通じ、大きく生産、そして収益管理面でそれぞれ2種類のソフトウェアを提供しています。生産面では、過去の生産データを一元管理しています。深堀りすると、植え付けの計画や作物管理といった機能を含みます。収益管理面では、APIも組み込み、財務経理、与信さらに保険などのデータを集約しています。

Aegro Firm Management Saas の概要

Aegroのポジショニング

Aegroの独自のテクノロジーを生かした素早い事業開発とセールス力によって、創業当時から差別化を図ってきました。下表が示すように、ブラジルにおけるFMSの中では、群を抜いた可動性とネットワーク性を擁します。

AegroのFMSのポジショニングマップ

数字で見るAegro

2014年の創業以来、着実に事業を拡大してきたAegroですが、特筆すべきは、その費用対効果の高さです。セッションでは、US$2Mの支出に対する高い収益性が示されました。下表に集約されるように、サブスクリプションの総面積は3.2Mエーカー(平均の農場サイズは3,920エーカー)、顧客一人当たりからの月間の収入はUS100$、顧客獲得費用(CAC)はUS$733で回収期間はおよそ8ヶ月、生涯顧客価値(CLV)はUS$2,671となっています。

顧客当たりの売り上げに関しては、プライシングの見直しやクロスセリングなどの取り組みが寄与し、2019年8月時点では、1年前の同期と比べ約2倍近いUS$130あたりにまで増加しています。

フリーミアムユーザ数は2019年7月時点で約3万にのぼり、有料ユーザ数も徐々に増加しています。農場面積で見ると、同時期で、有料の割合は30%を超えています。

また、農業の生産管理面のFMSでは、2017年1月から2019年7月の期間では、フリーミアムユーザ数は月間で11%増加し、しかもこれはマーケティングプロモーションなしの結果、というから驚きでした。小規模及び中規模農家からの、AegroのFMSへの強いニーズの表れといえるでしょう。一方で、財務管理面のFMSでも、過去2年間で、利用数が4.5倍と急増しているそうです。利用する各農家の赤字問題が顕著であり、早期の対策が必要という背景があるようです。

数字で見るAegro

セールス・マーケティングの強み

Aegroは、インターネット検索に対して盤石の態勢を取ります。ブラジルの各大学の優秀な修士および博士の学生と連携し、グーグルサーチにおける「アグリビジネス」に関する100以上のキーワードで、Aegroは上位10位内に表示されるそうです。2019年7月では、月間のウェブサイト閲覧数が10万回を突破しています。セールス部門では、計9名がファンネルの理論に基づいた効率的な営業活動を行います。

 

おわりに

世界有数の農業大国ブラジル。そこには、大規模な農家だけではなく、中小規模の農家も数多く存在しながら、従来の農業ビジネスは主に大規模向けでした。Aegroは、そうした農業のよりリアルな課題に着目し、技術力と販売力を活かしながら、独自のポジショニング築きました。農業はネットワーク、市場、オペレーション管理の3分野が相互作用し、複雑で、人手もかかり、長期的な取り組みが不可欠とされてきました。農業情報設計社の濱田氏も語ったように、アグリテックの各分野のスタートアップが協業して、ますます費用対効果の高い農業が実現していく事が期待されます。

Dusso氏の紹介

独カイザースラウテルン工科大学でコンピューターサイエンスの修士号を取得。アグリテックの起業家および共同創業者として、現在はAegro社のCEOを務める 。 小規模な家族経営の農場から大規模な農村ビジネスまで、農業の機能性向上に尽力。

示唆に富んだ貴重なご講演を有り難う御座いました!

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