フォーラム便り vol.17 | BomPraCredito, Daniel Polistchuck 氏

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フォーラム便りvol.1では、フォーラムの全体像と、ブラジルベンチャーキャピタルによるOpening Remarksを取り上げました。 vol.2以降は、全18セッションの模様をシリーズでお届けして参ります。 今回は、BomPraCreditoのDaniel Polistchuck 氏による「ブラジルのフィンテック」のセッションをご紹介します!

BomPraCreditのDaniel Polistchuck 氏 (写真左)とブラジルベンチャーキャピタル 中山

セッション要旨

ブラジルで今日まで誕生したユニコーン12頭のうち、Nubank、Pag Seguro、Stone、EBANXなど、フィンテック企業はおよそ三分の一を占めます。四社以外にも、マイクロ・ファイナンスへのニーズの高まりなどを背景に、ブラジルでは金融分野のスタートアップがしのぎを削ります。

第二回ブラジル・ジャパン・スタートアップ・フォーラムでは「ブラジルのフィンテック」のセッションを設け、四社からゲストをお招きしました。今回のブログでご紹介するのは、ローンの貸し手と借り手のマーケットプレイスを提供するBomPraCreditoです。Chief Information Officerを務めるDaniel Polistchuck 氏をお招きし、同社の起業からの経緯や、ブラジルのフィンテック市場動向、今後の成長戦略などを語って頂きました。(同社CEOのRicardo Kalichsztein氏がご登壇予定でしたが、変更となりました)。

会社概要

BomPraCreditoは2013年にブラジルで創業しました。自社のプラットフォーム上で、資金の借り手となる個人と貸し手となる金融機関等をマッチングさせるサービスを提供しています。ブラジル国内では、この分野でトップシェアの企業です。累計の資金調達は推定でUS$16.8M(シリーズB)で、従業員数はおよそ100名にのぼります。

CEOのKalichsztein氏は、ブラジルの大手金融機関であるUnibancoで融資関連の業務に携わり、信用リスクなどに関する高い知見を有します。2013年にCEOとしてBomPraCreditoを設立しました。今回ご講演頂いたPolistchuck氏はCIOとしてBomPraCreditoのIT分野を支えています。15年以上にわたりIT業界でキャリアを積み、政府や金融機関などを顧客にビジネスを展開していました。下写真の経営陣4人は、合計で20年以上の銀行、金融機関、テクノロジーコンサルティングなどの経験があり、BomPraCreditoのビジネスを推進するにあたり、最適なメンバーで構成されています。

BomPraCreditoの経営陣(写真左がCEOのKalichsztein氏)

ブラジルの個人向け融資が抱える課題

Omieのセッション振り返りでもお伝えしましたが、個人や中小企業が融資を受けるにはハードルが高いのが現状です。貸し手を探す上で、煩雑な手続きが求められたり、かつ、最適な金利などを選択するために金融機関を一軒一軒比較調査するなど、手間ひまのかかるプロセスと言えます。一方で、お金は、事業を恥じたり、生活に必要な物資を購入したりと、個人及び家庭の所得が向上していく上での重要な「投資」にもなります。国の経済を支えていく個々人がよりスムーズに融資を受けられ、かつ、貸し手側もリスクを抑えてお金を貸せる仕組みへのニーズが潜在していました。

BomPraCreditoが提供するソリューション

上記のペインポイントを解決すべく、BomPraCreditoは下図のようなスキームで、貸し手と借り手を繋いでいます。例えば、借り手となる個人が、BomPraCreditoのプラットフォームにアクセスし、希望の借入額や個人情報を入力します。すると、プラットフォーム上で借り手の信用情報などが分析され、その結果に合わせて、金融機関が提供する融資プランのオファーを受けるという仕組みです。このプロセスの所要時間はなんと五分だそうです。これにより、借り手側としては、融資を受けるまでの諸手続きの手間が省け、貸し手側も、リスクを最小限に抑えながら、貸し出しの機会を享受することが可能になります。Polistchuck氏は、将来的には、投資ファンドや個人投資家もプラットフォーム上に加え、資金の貸し借りをより広範囲で行えるようにしたい考えを示しました。

BomPraCreditoのビジネスのスキーム(イメージ図)

数字で見るBomPraCredito

BomPraCreditoがブラジルの個人向け融資市場でどれだけの支持を受けているのか、以下の数字が物語ります。現在では、ブラジル国内で最大の、個人向け融資プラットフォーム企業の座を獲得しています。

・累計600万人以上のユーザー

・累計15万以上の利用家庭

・34の銀行および金融機関(プラットフォーム上で貸付プランを提供)

・累計US$125M以上の融資

BomPraCreditoの投資家

累計でおよそUS$16.8Mの資金を調達しています。投資家は、フォーラムにもご登壇頂いたSP VenturesやAstella Investimentos(SP Venturesのリードによる合計US$1.5Mの投資)、ブラジルのベンチャーキャピタルであるInnova Capital、ブラジルの大手メディアであるGLOBO、そしてRicardo Loureiro氏(BomPraCreditoの取締役)などです。

今後3年間の成長見通し

ブラジルのクレジット・プラットフォーム市場は、2022年にはUS$2.5Bの規模に成長し、ユーザー数も、2019年度の10倍以上にあたる2千万人(ブラジルの全人口の約10%)にのぼる見通しです。BomPraCreditoも、売上高について、直近の三年間では年平均で100%以上の成長をマークしています。

おわりに

ブラジルでも、Creditasのようなマイクロ・ファイナンス関連企業が台頭し、同社はユニコーン一歩手前と評価されています。さらに、先日にはソフトバンクがメキシコのマイクロ・ファイナンスに投資するなど、新興国に共通して、「今までお金を借りにくかった人々に、手軽に貸し出せるシステム」への需要は手厚いものがありそうです。BomPraCreditoの様に、大手の金融機関などを巻き込んで、かつ将来的には投資ファンドや個人投資家も巻き込んで、自社マーケットプレイス上でのネットワーク効果を拡大していく戦略は的を得ているでしょう。マイクロ・ファイナンス市場では、今後はどのような借り手と貸し手を繋ぐ新たな仕組みが生まれてくるのか、ブラジル外の市場も含めて、注視していきます。

Polistchuck氏の紹介

BomPraCreditoのCIO。ソフトウェア開発、プロジェクト管理などIT業界で15年以上の経験(政府、医療、金融機関、マーケティング企業などを対象)。専門分野は戦略的ITプランニング、プロジェクト管理、ITインフラストラクチャ管理、ITのSOX、CMMI、ビジネスインテリジェンス、企業ディレクトリサービス、Java、Win32開発など。ブラジル・サンパウロのトップスクールであるFGVでMBA取得。

示唆に富んだ貴重なご講演を有り難う御座いました!

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